絶倫ファクトリー

生産性が高い

[]生活階層指数


対象者の食事、住居、衣服、医療、移動手段、通信、などの生活にかかわる各カテゴリに、実質情報指数と財政指数の二つの項目を用意し、それぞれの指数の積を算出。そしてその数値を同カテゴリの他人の数値と比べた偏差値を算出する。各カテゴリごとの偏差値を算出し、それの合計を生活階層指数とする。

■財政指数の算定方法■
年収からかんがみて、一ヶ月にどれくらいの予算をそのカテゴリに用意できるかの数値。

■実質情報指数の算定方法■

まず各カテゴリの中で、そのカテゴリに属するものを全てリストアップする。これを母集団とする。
次に、その中で被支配選択肢となっているものを除外する。
次に、さらに対象者が地理的・知識的にアクセスしえないものを除外する(地理的に遠く手に入らないもの、知識としてその存在を知らないもの)
次に、そのカテゴリの財政指数から見て対象者がアクセスしえないものを除外する。

以上の過程を踏まえた上で残った選択肢が、そのカテゴリの有効情報であり、その総数を実質情報指数とする。

以上二つの指数の積のの偏差値を各カテゴリごとに算出し、その偏差値を取り合計したものが、生活階層指数である。

(実質情報指数について:例えば、甲さんの「インターネット環境」というカテゴリについて調べるとする。インターネットのプロバイダ会社がA・B・C・D・Eの五つ合ったとき、まず価格・サービスなど比較要素をいくつか挙げた上で、その全てが、他の選択肢のどれかもしくは複数からみて劣るというものを排除する。ここでEという選択肢が消えたとする。残る四つの中で、甲さんの地域には無かったり、甲さんが存在を知らなかったものを排除する。これでDという選択肢が消えたとする。残る三つの中から、一ヶ月に甲さんが用意できるインターネット環境のための予算から見て不可能な選択肢を排除する。これでCという選択肢が消えたとする。こうして残ったA、Bという選択肢の数「2」が甲さんの「インターネット環境」というカテゴリの実質情報指数である。そしてもし甲さんが一ヶ月に用意できる予算が5000円なら、甲さんのこのカテゴリの階層指数は10000である。この数値を他の調査者の人と比べ、偏差値を出し、それを全てのカテゴリ合計したものが生活階層指数である)

2、生活階層指数の利用法

上記のように生活階層指数は対象者の経済的格差に加え、情報格差の要素を加味した数値である。この数値が高ければ高いほど、客観的に見て生活が豊かであるといえる。たとえ経済的に豊かでも、情報がなければその経済的豊かさを生かしておらず、同程度の経済的豊かさをもち、かつ情報を持っている人に比べ豊かであるとはいえない。逆に情報があっても、経済的に豊かでなければ客観的に豊かだとはいえない。
性質上、この数値が大小両極端に分かれるようなら、それはその社会が貧富に二分されていて、階層化が進んでいるいるということである。逆に一定の数値に集まるようなら、それは階層化が進んでいないということだ。そして生活階層指数を横軸にとり、他の様々な数値を縦軸にとり、プロットすることで様々な分析が可能である。たとえば縦軸に実質情報指数をとった場合、情報格差と階層化の関連を調べることが出来る。他にも世代間格差や、意識調査との整合性を図ることができる。

3、課題

この理論は、人々の生活を数種類〜十数種類のカテゴリに分け、縦方向に裁断し、そしてそれぞれを多数の他人と比較して横に裁断し、それを偏差値として比較可能な数値に置き換え、もう一度それらを個人個人で合計し、縦方向に裁断するという作業を行なっている。つまり、生活を縦方向に二回、横方向に一回裁断している。これは、統計学的に有効なサンプル最低数2000人を確保する際、非常に困難を強いられる作業だ。複雑すぎて、この作業すべてを2000人以上の人間に対し行なうのは現実的に無理がある。いくつかの改良が必要である。
その際、いくつかの方向性が挙げられる。ひとつは、このままこの理論をさらに特化させる方法。といっても、それでは解決にならないので調査するカテゴリを二、三種類に絞る。教育、通信、とか食事、住居とかいったように。この方法なら、正確性を上げた上で特定のジャンルにアプローチするため、限定的な調査にはかなり効果を発揮するだろう。
もうひとつは、汎用性を上げる方法。生活全般について調べたいとき、実質情報指数の算定方法の煩雑さはやはり障害とならざるを得ない。また偏差値によるデータの比較ももう少し簡略化すべきだろう。カテゴリも、二、三種類とはいわないまでもある程度生活の基礎をなす主要カテゴリに絞るべきだ。
以上のように、まだまだこの方法論には改善すべきところが多い。まだ実用段階に至っていないのは明らかだ。だが、逆に言えばこれからの改善方法によってはかなり将来的に期待の出来る方法論になる可能性もある。時間をかけて、時に実験的運用も伴わせながら改良していきたい。