絶倫ファクトリー

生産性が高い

動物化するポストモダン


「小さな物語」から「大きな物語」にさかのぼる時代、そして後者の喪失によってフェイクとしての「物語」を求める時代、そしてそのフェイクすら必要とせず、ただ単に深層のデータベースを貪る現代のオタクたち。

それはコジェーブが指摘した「動物的」な態度である。欲求をインスタントに満たしていくその態度は、ポストモダンの最たる象徴だと。

話としてはわりと複雑で分かりにくいんだけど、具体例をきちんと挙げつつ話を展開させてくれてるんで分かりやすさも結構持ってる。少なくとも読みやすい。

ただ惜しむらくは、この本の途中で展開される様々な支流的な話が全て「他の機会にしよう」と外に出されてしまっている点。まぁ東の言説がたかだか新書一冊に収まるわけはないんだけど。

むしろこの本自体が、彼のいう「小さな物語」なのかもしれない。だとするとその奥にある無限のデータベースはいったい何なのだろう。

それが、現代に無数にはびこるオタクたちなのかもしれない。オタクたちはキャラクターを表層にし、その奥に解体されていく記号的データベースを消費しつつ、その行動様式すら、批評家という立場の著者にデータベース化され消費されているのではないか?だとしたら相当皮肉な話ではある。

もっと読み込む必要があるなぁ。