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絶倫ファクトリー

生産性が高い

電通の未来?

マスメディアの現状

うちの大学では水曜日、通年で「青木彰記念・ジャーナリズムの現在」という授業をやっている。
産経新聞社から筑波大学の教授に転進し、12年間教鞭を取った青木彰という先生が、ジャーナリスト志望の学生向けに私塾を開いていた。その教え子達が順番に授業を担当し、ジャーナリズムの現状に付いて語るという授業である。

今回は一学期最終の授業ということで、座談会の形式を取り、NHKキャスターを司会に、産経新聞出版社代表取締役、住友信託銀行、電通といったなかなか豪華な方々が来て、話をしてくれた。

話は主に新聞業界の現状と課題についてだった。要旨としては以下の二点に絞れるかと思う。

・新聞業界の6割程度が広告収入。この広告収入が今激減しており、経営が曲がり角にある。一方で、ネット広告の伸び率はすさまじく、2006年のネット業界の広告収入は2004年の2倍に増えている。
・既存のマスメディアは今まで外部からの資本の注入を避けてきた。だがこれだけネットが隆盛だと、新しい事業に参入せざるを得ず、その際に資金が必要になる。そのときに、金融機関は必ず資金・資本の提供を狙うだろう。

電通もまた危ないのでは?


つまるところ、新聞にしろテレビにしろ、ビジネスモデルである広告収入が伸び悩み、変わって、というかその原因となっているであろうネット業界は飛ぶ鳥を落とす勢いで伸びている、と。
絶対的な数字だけで見れば、テレビ業界全体の広告収入は2兆円前後、新聞が1兆円、ネットが4千億円程度で、差は歴然としている。しかし前二者が頭打ちなのに対し、ネットは倍々ゲームで伸びている。ネットは成長産業である。
こう見ると確かにネットが伸び盛りで、新聞、テレビ危うし、と言った感じではある。しかし今回の講義でこのデータを喋っていたのは電通の社員の方だったのだが、かくいう電通も実は危ないのでは?と僕は思った。というのも、今起きているのは新聞やテレビで新しいコンテンツが出てきたというのではなく、ネットという新しいインフラが出現した、という話である。だから当然、テレビや新聞では異常なまでに高いシェアを誇ってきた電通も、ネットでは他のプレイヤー同様新規参入組に過ぎない。そしてすさまじいといわれるネット広告の伸びの中で、どれだけ電通がその割合を占めているのだろう?今ネット上を席巻しているのはgoogleなりamazonであり、ネットの革命者たちである。彼らは広告業にも非常に長けており、かつどんどん成長している。ネットが登場して危ない危ないといわれているのは、既存のマスメディアだけではなく、それをクライアントにしている電通もまた危機に瀕しているのではないだろうか。

広告型+課金型?


と、言うような疑問を、質疑応答の機会があったので、失礼ながら電通の社員の方にぶつけてしまった。そこで帰ってきた答えは以下のようなものである。
曰く、その質問は非常に的を得ていて、電通社内でもネット広告の獲得というのは急務になっている。実は守秘義務事項にひっかかるので詳しくはいえないが、既存のマスメディアはネットに進出していてもほとんどお金が取れていない。無料のサービスがメイン。そこをいかに有料のコンテンツにするかという話を進めている。現在新聞社、テレビ局と言った既存のマスメディアと手を組んで、ネット広告のシェア獲得に務めている。


とのことだった。ただこの回答にもひっかかるところが一つあったので、講義が終わった後にこの方に話を聞いた。というのも、普通ネットコンテンツで企業側がペイしようとした場合、普通はお金の取り方が「広告型」と「課金型」の2タイプに分かれる。ユーザーが無料で使えるのは広告型で、お金を払うとそうした広告を取っ払ったり追加のサービスが受けれたりする。しかし電通の方の回答は、コンテンツを課金型にしつつその中に広告を忍ばせるという趣旨に聞こえた。そうしたコンテンツが果たしてユーザーに受け入れられるのかどうか。そしてどのようにして広告を表示させるのかを聞いてみたかったのだが、残念ながらそれは電通の秘密兵器らしく、教えてくれなかった。

RSSリーダは広告を殺すのか


一つ残念だったなぁと思うのは、電通の方が示した今後の方向性が、既存のマスメディアとのスクラムだった点。僕はこのままだとそれでは危ないと考えている。というのも、今後の(というかもはや現状の)ネットコンテンツを語る上で欠かせないのが、RSSだろうからだ。現在僕は新聞を取るのをやめ、その代わりをRSSリーダーに頼っている。既存のマスメディアは、現在のところそこあRSS配信に熱心ではないようだ(新聞社のヘッドニュースはRSS配信しているが)。このRSS配信をきちんと考えていかない限り、既存のマスメディアと組んだとしても、良い結果は生まれないのではないかと思う。

ところがふと考えてみると、RSSリーダの進化は逆に広告業を殺しかねない。今一部でRSSリーダの全文表示がうんぬんという話が出ていた気がするのだけれど、そうなるともはや元記事に飛ぶ必要はなく、閲覧はRSSリーダを通してのみで事足りる。そうなると、元記事にいくら広告を注ぎ込んでも、RSSリーダは広告を拾わないので、結局無意味になってしまう。

全体的な感想


まぁそんなことを考えながら講義を聴いていたのだが、終わった後に今日講義してくださったメンバー、テレビ局・新聞社・広告代理店・金融という4人の職種を見ていると、沈み行くテレビ局+新聞社、それを冷静に分析しているようで実は自分も危ない広告代理店、そしてみんながアップアップおぼれかけるのを待ち構える金融業、という図式になっているように見えて、あと10年経ったらこの4人の立場は一体どうなっているのだろうと少し気になった。