学問バトン
なるものがid:sakstyle氏から回ってきました。すげー楽しそう。多分彼ほど濃いものは書けないだろうが、自己紹介がてら書いてみる。
◆あなたの専門・専攻・得意教科は?
社会学専攻。現在は都市社会学のゼミに在籍。
ただし興味・関心領域と言われれば、哲学、メディア、ウェブ、言語学、セキュリティ問題なんかも挙げられる。
つまりつまみ食いが多い、ということ。
◆あなたは、どのようなテーマに関心がありますか?
つまるところ、「自由」とは何ぞや?
人が行動を選択するとき、その人は完全に自由ではなく、必ず何かしらの規範の影響を受けているはず。
何が自由で何が自由でないのか。
特に今はハードウェアから自由をコントロールすることに対する興味が強い、かも。
◆あなたは、なぜその専門・分野を選んだのですか?
僕自身が「先読み」が好きだった。自分で勝手に物事の予測をつけて、当たると勝手にひそかに喜ぶ。
だけど予測には現状の分析が不可欠なわけで。だから今の社会の現状をクリティカルに知りうる社会学は、うってつけかなと。
逆に言えば、社会学を使うことで未来が分かる、かもという期待がある。未来学っていうとそれはまた別の用語として存在するのだけれど、字面だけで言ってしまえばそんな感じ。
だから、大学に来るまで実は社会学が具体的に何をするのかなんか知らなかった。
宮台真司?誰それ?ウェーバー?聞いたことあるねそれ。
つまり何か問題意識があって社会学を志したというより、単純な自分の趣向に元来は由来している。
ここら辺は、sakstyle氏とは違うかもしれない。
◆あなたが最も影響を受けた人と、その理由を挙げてください(複数人可)。
数少ない原著を読んだ人の一人。
言わずもがな、規律訓練型権力の権化。「自由」を考える上では欠かせない。
最初にパノプティコンの発想に触れたときは、戦慄を覚えた。これ考えたやつすげぇ!*1
そして思った。こりゃ使える。
そんなわけで去年のゼミ論では大活躍した。
ドゥルーズも読みたいのだけれど、分厚さに退いてます。
そんなにどっぷりつかってるわけではないけれど、彼の「自由」に対する考え方はかなり惹かれるものがある。
「動ポス」やら「自由を考える」やら、かなりお世話になってます。
ほんとにこの人頭が良いんだ、って文章から感じ取れる人。
土井孝義
去年のゼミの教授。
「現代社会論」の授業を受けたときの、「少年犯罪は増えてません」「凶悪化ではなく稚拙化です」な話は衝撃を受けた。
それまで当たり前だと思っていたことを、ひっくり返された。これがあるから学問はやめられない。
社会学がどんなものかってのを知ることが出来た感じ。
◆あなたが影響を受けた本とその理由を、何冊か挙げてみてください。
- 作者: 東浩紀,大澤真幸
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2003/05/01
- メディア: 単行本
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NHKブックスにはまるキッカケとなった本。環境管理型権力という言葉をここで初めて知った。
大澤真幸もすごかったんだけど、どうも対談という形で見ると東の方が自分の興味に近い気がした。
ハードから自由をコントロールする、という発想を知った本でもある。また読もう。
動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)
- 作者: 東浩紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/11/20
- メディア: 新書
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動物化!もうそれだけでおなかいっぱいになれます。
データベースとか動物化とか、東の用語系に初めて触れた本。
しかし改めてみると何で自分がハードから「囲い込む」のが好きなのか。
外堀を埋めるってのが好きなのかもしれない。性格悪っ!!
- 作者: ミシェル・フーコー,Michel Foucault,田村俶
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1977/09
- メディア: 単行本
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フーコーはこれしか読んでいない。ほかのも読まなきゃいけないんだろうけど。
ちなみに萱野稔人の「カネと暴力の系譜学」では、規律訓練型権力とはまた違ったフーコーの読み方が味わえます。
- 作者: 齋藤純一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/12/21
- メディア: 単行本
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哲学・社会学を中心に、「自由とは」という観点からさまざまな領域・人物の概念をサマリーしてくれる本。
去年ゼミ論書くときにかなり役に立ちました。
学術書なのに読んでいてニヤニヤしてしまう。そんくらい「なるほど!」と思わせてくれます。
◆入門者に、その分野の「入門書」として一冊お勧めするとしたら何を薦めますか?
- 作者: マックスヴェーバー,大塚久雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1989/01/17
- メディア: 文庫
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すごいベタベタなんですけど。この本は二つの用法が考えられる。
ひとつはこの本で述べられている示唆を受容すること。プロテスタンティズムの禁欲的な態度が、資本主義を生んだという逆説でも良いし、もっと抽象化して、中心―周縁関係において周縁がそのシステムによって自らをドライブし始め、それを生んだはずの中心が消滅するという関係でも良い。
もうひとつは、方法論としての入門書。社会学がどのような手法で何を調べ、どんな結論を出しうるのか、ということを知るのに最適だと思う。これは「自殺論」にも言えること。
◆あなたが考える、その専門・分野の「武器」はなんですか?
・・・ここまでくれば分かると思うんだけど、正直僕は「シャカイガク」らしい社会学をやっていない。
今年度に入ってようやく都市社会学でそれっぽいことをやり始めたのであって、それまでは現代思想というか哲学領域に興味があった。
それを踏まえたうえで言わせてもらえば、「当たり前を疑う」ことが出来る、ことか。
疑った結果として出てくるものは、もう一度当たり前かもしれないし、当たり前でないことかもしれない。
けれど、プロセスとして世の中の「当たり前」に従属しないという態度は、端的にクリエイティブな気がする。
◆他人に「君、大学では何を研究してたの?」等と聞かれた場合、なんと答えるようにしていますか?
「人をもっとも効率よく動かす方法」かしら。
「自由」と「不自由」の間にあるのは規律・規範であり、要はどうやって人を動かすかって話になる。
・・・やっぱり性格悪いなぁ。
◆あなたがその専門・分野に関して、一般の方に知ってもらいたいところは何ですか?
そもそも社会学が何をやってるのか、それを知ってほしい。
小難しいプロセスを知ってほしいわけではなく、単純に結果だけで良いです。
そうすればそのプロセスにも興味が湧くと思うから。
ただそのためには、社会学徒がシンプルに何をやってるのか答えられないといけないと思う。
◆あなたがその専門・分野に今後期待することはなんですか? あるいはあなたがその分野で達成したい目標はなんですか?
基本「先読み」が好きなので、究極的なことを言えば、この国が将来的にどこに行くのかを知りたい。
もちょいミクロなことで言えば、セキュリティと都市の関係を中心に、ゲーティッド・コミュニティの代替物を構築できるようにしたい。ただそのためには、都市社会学だけでなく、その他の分野を多く取り込む必要があると思う。
◇次に回す人たち
id:nyaro(wha?)
テツオタ。もちろん哲オタの方。素晴らしき変態。いろんな意味で。
id:midnightseminar (THE MIDNIGHT SEMINAR ON THE WEB)
大学の先輩。もう卒業されてしまいましたが、知識量がとんでもない。かつ明晰。
僕の周りで正統な「保守」と呼べる数少ない一人です。
id:shatehu(業務報告)
社会学にも興味のある政治学徒。
日本政治がメイン。左右両方のゼミを取ってるという稀有な人。
ゼミの先生です。とても若い!見た目も精神的にも。
二学期もよろしくお願いします。