絶倫ファクトリー

生産性が高い

スプロール化する消費者の権力

後藤隊長に聞け

社会 - 毎日jp(毎日新聞)
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http://mainichi.jp/select/wadai/news/20081008k0000m040170000c.html - 2008年10月8日 19:02 - ウェブ魚拓

こんにゃく加工品メーカー「マンナンライフ」(本社・群馬県)は7日、兵庫県の1歳男児が今年7月に食べ窒息死したミニカップ入りこんにゃくゼリー「蒟蒻(こんにゃく)畑」の製造中止を決め、卸売会社に通知した。マ社品質保証室は「警告マークを大きくするなど行政に要請された改善策に応じられないため」と説明している。


色々ごちゃごちゃ書いたのだが、事態のばかばかしさは以下に引用する映画のセリフで全てが説明できるだろう。それ以上でもそれ以下でも無い。

「ねぇ、落ち着いて考えてご覧よ。今俺たちが何をするべきなのか、それぞれの持ち場で何かしなくちゃ、何かしよう。その結果が、状況をここまで悪化させた。そうは思わないか。」

押井守監督『劇場版パトレイバー2』後藤隊長の言より。

スプロール化する消費者の権力

僕はこんにゃく畑信者でもなんでもないのだが、これは別にこの商品個別の問題ではなく、消費者の権力がスプロール化していく一つの過程だと考えられる*1防犯カメラの導入、警察によるパトロールなど、セキュリティ強化の要請が「市民」の方から出てきていること流れと同根で、いまや「安全・安心」はご老公・消費者が持つ最強の印籠となっている。
何も「安心・安全」の追求が悪だなどというわけではない。今回の製造中止の決定打となった9月30日の冷凍こんにゃくゼリー死亡事件に関して言えば、どこまでが消費者の保障されるべき権利でどこまでが消費者側の責任なのか、それを司法の判断を経るまでもなく、「自主規制」などというあいまいな形で決着させている。それは消費者の権力がずるずると際限なく拡張していくことになり、それは決して社会全体のプラスにはならない気がする。個別最適の集合は決して全体最適にはならない。
さらにそのようなあいまいな決着が社会問題の解決手段として本当に認められるならば、翻って、将来、消費者の権利が不当にあいまいな形で縮小されることもまた十分ありうる話だからだ。あいまいに拡がった境界は、あいまいに狭められていく。
消費者庁」は、そういうスプロールに歯止めをかけるべきなのだろうなと思う。

そういえば後藤和智は東や宮台なんか社会的に見れば大したこと無い部分に噛み付くより、こんにゃくゼリーの死亡事故件数とその他食品に関する死亡事故のデータを絡めて検証したほうが、よほど役に立つと思うのだけどどうだろう。「こんにゃくゼリーは危なくない!」とかのタイトルで新書出して。

*1:スプロールというのは本来郊外における都市の無秩序な進展とそれによる社会の非効率化を指すのだが、ここでは敢えて他の領域の現象に使った。