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絶倫ファクトリー

生産性が高い

紙の同人誌と電子書籍の同人誌の違い

『ねとぽよ』という同人誌に少し関わった。

http://netpoyo.jp/

『ねとぽよ』は冬コミであの坂口さんを全面に押し出したカードを販売したけれど、それ以降は基本的にWebサイト上での通販という形になっている。電子書籍なので普段自分が見てきた紙の同人誌とは少し事情が違う。別に内部事情を暴露するわけではないのだけれど、紙と電子書籍で同人誌を作る際に何が違うのか少し考えた。

紙の同人誌は、これは商業誌がそうである以上に、増刷がしづらい。販路をコミケや文フリといった即売会に頼っている場合、ますますその傾向が強くなる。200~300部程度の同人誌では、1冊あたりの印刷費用がそこまで下げられないため、短いスパンで増刷するわけにいかない。かといって始めに1000部刷っておいてそれをガンガン売ればいいのかと言うと、コミケや文フリ以外にも店舗への委託できっちり売れないと、在庫をさばけない。

電子書籍はその点印刷とその輸送にかかるコストを抑えられる。ところが今度は販路が問題になる。そもそも人々の間に電子書籍を買うという行為が習慣化しておらず、したがって決済システムを含めて電子書籍を自由に売り買いできるチャネルは今のところごく限られている。App Storeやそのほかの大手のプラットフォームに頼ろうとすると、それなりのマージンを持っていかれることになる。

「紙の印刷代とトレードオフみたいなもんでは?」と思う人もいるかもしれないが、印刷代はプライマリーコストであり、販路の拡大に従って基本的には最終的に下げることができる。けれど電子書籍プラットフォームのマージンは、規模を拡大しても基本的に下げられない。自分たちの努力ではどうにもできないコストであり、なるべく発生すること自体避けたいコストである。

とすると、自分たちで販路を作るしかない。そこには技術的なハードルもあるし、そもそもどこの馬の骨ともつかないサークルの作ったサイトから電子書籍を買うやつがどれだけいるのか?という信頼の問題もある。けれどこれだけコンテンツを作るコストが下がっている中で、作りたいものを作って流通させるには、そうしたハンドメイドな取り組みが必要なんだろうと思う。プラットフォームへの依存は、最終的にはどこかで「作りたいものを作る」という同人活動の基本を歪めさせる。

ここからはまだ出来ていないものに対する想像だけれど、ウェブで同人電子書籍のプラットフォームができたとしても、それは文フリやコミケといったリアルの即売会以上に「勝っているものがさらに勝つ」傾向がきっと強くなる。そうするとそのプラットフォーム内部でのメタゲームが始まり、コンテンツは「作りたいものを作る」プロダクトアウトから「そのプラットフォームで勝つ」ためのマーケットインなものになる。それは面白くない。むしろそれが問題になる程度にそのプラットフォームが拡大すれば1つの文化圏になっているはずなので、それはそれでいいのかもしれないけれど、僕自身が望む世界ではない。

ということで、そんなハンドメイドな『ねとぽよ』をぜひよろしくお願いいたします。

http://netpoyo.jp/