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絶倫ファクトリー

生産性が高い

Gunosy がすごい

ウェブ論 メディア論

昨日のエントリーで「自分に必要な情報を選ぶためのフィルターは淘汰される」という話を書いた。『閉じこもるインターネット』の著者は、メディアがユーザーの望むものだけを与えることで、衆愚的なコンテンツばかりになることを危惧していた。それ自体はすでに起きている事態だ。問題はそうした衆愚的なフィルター、つまり「みんなが見たがるものを私も見たい」という欲望に応えることのできるコンテンツと言うのは、そんなに種類として多くない。ほぼパターンが決まっているのである。フィルターを非常に作りやすい。そのため飽きられる速度もそれなりに速い。フィルター自身が淘汰されると書いたのは、そういうことだ。 

 

最近、面白い「フィルター」を見つけた。「Gunosy」というサービスだ。TwitterFacebookのアカウントを使ってサインアップすると、アルゴリズムを使って自分にあったニュースを探して配信してくれる。こう書くと「はてなブックマーク マイホットエントリー」や「Crowsnest」と似たようなサービスに聞こえる。全然違う。これらのサービスが基本的にTwitterFacebook上のソーシャルグラフ上で話題になっている記事を抽出するのに対し、GunosyはTwitterFacebookをユーザーの趣向を判定するのに使うだけだ。記事のレコメンドはユーザーの趣向に基づくので、ソーシャルメディア上で話題になっているものが必ずしも配信されるわけではない。 

ソーシャルグラフを元に記事をレコメンドするサービスは、ソーシャルグラフが広がれば広がるほど、そこで流通するコンテンツが衆愚化しがちという問題を抱えている。

参考:

http://naoya.hatenablog.com/entry/2011/11/22/234059

たとえその母体となるグラフが自分が選んだ人であっても、その選んだ人たちを増やせば増やすほど、それが衆愚化してくのは避けられない

  • つまり、はてなブックマークにおける Social Graph を太らせれば太らせるほどマイブックマークの価値は下がっていく

  

その点、Gunosy は自分のアクティビティをベースに記事がレコメンドされるので、自分がある程度自分の好みに自覚的な行動を取っていさえすれば、こうした事態を避けることができる。 

設計思想などは以下のインタビューが詳しい。

[インタビュー]情報の新しい流れをつくりたい–東大のエンジニア集団が立ち上げた次世代マガジンサービスGunosy | Startup Dating [スタートアップ・デイティング] 

そして実際使ってみると、精度が高い。自分のアクティビティを元にしたレコメンドなので精度といっても自分が良いと思うかどうかの話だが、「お、これいいな」と思うものをレコメンドしてくれる。 

 

特に面白かったのは、この記事をレコメンドしてくれた時のこと。

ブックオフオンライン、検索広告廃し利益10倍に、商品値下げで購入率増 - 通販新聞

この記事をお勧めしてくれたのは6月12日の朝だったのだが、その時点ではてブは10~20程度しかついていなかった。その後300以上にまで伸びていることを考えると、わりと早い段階と言える。 

もちろん先にはてブできたからGunosy すごいという話ではない。6月12日の朝というのは、WWDCのイベントで僕のタイムラインは持ちきりだった。タイムラインに流れる記事はほとんどが新MBPやiOS6の話だった。少なくとも同じタイミングで届いたはてなブックマークの「マイホットエントリー」メールには、WWDC関連以外の記事がたった1つしかなかった。ソーシャルグラフをベースにしたレコメンドでは、こうした事態を回避できない。

 

ということでまとめると、

Gunosy すごい。

 ・結構「これは」と思う記事をお勧めしてくれる。

ソーシャルグラフを単に数に還元しただけのレコメンドシステムは微妙。

 ・はてブのお気に入り機能で十分。

 ・naoyaさんはてなに戻ってこないかなー

・フィルターバブルというけれど、フィルター自身をこうしてユーザーが選ぶことが可能。フィルターは淘汰される。

 ・もちろんその淘汰の中で選ばれるフィルターがなおどうしょうもないものだったりすることはあるかもしれないけど。