絶倫ファクトリー

生産性が高い

交わらぬ視点

この授業、授業が終わった後にその授業の中身にある程度即した内容の映画を一本見るのですが。
今回は、市場システムというものがいかにして共同体とそこに根付いた市場システム以外の経済原理を破壊したかという観点に基づき。<コレを見ました。

一般的な西部劇、つまり「白人が悪いインディアンをやっつける」的なノリではない、むしろインディアンの視点に立って白人の迫害を抉りだそうというコンセプトだと思われるます。白人の一少尉だった主人公が、徐々にインディアンに接近して交流を深め、一時白人兵士達に連れ戻されるものの、そこにインディアンがやってきて彼を助ける、みたいな。白人がいかにインディアンを蔑視し彼らの共同体を破壊してきたかを描く映画、らしいんですが。



正直普通の西部劇と変わらない。



視点を「悪いインディアンをやっつける白人」から「悪い白人をやっつけるインディアン」に変えただけであって、単純な善悪二分論・勧善懲悪に基づいたストーリー展開はなんら従来の西部劇と変わりありません。
特に、主人公が助けられた際、彼を拘束していた白人兵士達はインディアンに皆殺しにされるんですが、その後インディアンの村に戻った時の主人公の「あいつらは殺されて当然のやつらだ」という一言は、まさしく白人がインディアンを殺す時の理論であり、せっかくの「インディアンの視点に立つ」というコンセプトが台無しです。まぁそんだけインディアンを迫害した者達は罪があるということが言いたいんでしょうが、それは正当化の根拠にはなりません。
映画という商業的媒体の形式をとる限り、ある程度ストーリーにメリハリがあり、見ていて面白いものじゃないといけないんでしょうけど。視点があまりに一方的かつ外枠の理論は何にも変わっていないというお粗末さは、さすがハリウッドというかなんと言うか。確かに真面目にインディアン問題を描こうとしたらかなり映画としてはつまらなくなる可能性があります。正確さを求めたらね。

そんなこんなで、早くもこれからの授業で見るであろう映画が心配になってきました。モダンタイムズ程度の風刺映画のほうがよっぽど面白い。