絶倫ファクトリー

生産性が高い

筑波批評社で文章を書きました

僕が所属している批評系サークル「筑波批評社」が東浩紀氏主催の「ゼロアカ道場」に道場破りとして参戦することは以前書きましたが、その際に代表者二名を選出するための選考会用に書き上げた文章を筑波批評社のブログにアップしました。

落選原稿公表―klov編―『「わたし」選びゲーム ――加藤智大完全克服マニュアル――』 - 筑波批評社

普段文芸批評にはあまり縁の無い身ですが、とりあえず「宇野常寛力」なるものを意識して書いたつもりです。作品論としては漫画『ぼくらの』およびそのライトノベル版『ぼくらの 〜alternative〜』の二本です。ただ文芸批評というよりは、タイトルの『「わたし」選びゲーム ―加藤智大克服完全マニュアルー』から分かるとおり、ほとんど実存的な問題を取り扱っています。

後期近代に生きる私たちは、「他にありえるかもしれない/ありえたかもしれない自分」像をあまりに多く抱えています。そしてそれらのどれかを、自分の責任の下、最適な形で選ぶことを常に社会から要求されている。しかしそれが行き過ぎると、自分は自分についての全ての可能性を知っていて、あたかも自分が自分について俯瞰できるカミサマ視点を持っているかのように錯覚してしまう。それは結局この世界に存在する「偶然性」=自分の力の及ばぬもの、みたいなものを、全て自分のコントロールの結果だとする「必然性」=宿命論に密かに書き換えてしまう作業に他なりません。
私たちは自分についてのすべての可能性を知っているわけじゃないし、それを選択した結果も全て自分の責任というわけじゃない。おかしくないか。もっと他に生きる方法はあるんじゃないか。

そんなようなことを書いています。ブログというメディアの関係上、若干長文なので読みづらいかもしれませんが、是非お時間ある方はご一読願います。