絶倫ファクトリー

生産性が高い

2008-01-01から1年間の記事一覧

形式への没入と予告.in

葬儀と資本主義―形式への没入 先日、大叔母の通夜に出てきた。よくある郊外型葬儀施設に入り親族席に座りながら、棺を囲む、葬儀会社の用意したありがちな葬儀用ガジェット(シュミラークル?)について思いをめぐらさせていた。 式が始まる前、親族に向かっ…

報道というプロペラは誰が回すのか トークラジオ「LIFE」の秋葉原事件特集についての違和感

報道という行為の循環構造 6月22日「秋葉原連続殺傷事件」Part2 (文化系トークラジオ Life)いつもpodcastで聞いているこのラジオ、先月22日の放送は6月8日の秋葉原通り魔事件についてだった。 その中で、サブパーソナリティの1人、IT・音楽ジャーナリスト・…

「承認」だけでは済まぬ問題たち―物語と承認の彼方に

「承認」の話が自分の観測範囲内でちょくちょく見られるので後出しじゃんけんをしてみる。「ロスジェネ」のシンポでも色々話が出たようだが、パフォーマンスと言えどナイーヴな議論も出たようで、またいくつかの議論はその焦点がぼやけているものもある、と…

「フォト・リテラシー 報道写真と読む倫理」

フォト・リテラシー―報道写真と読む倫理 (中公新書)作者: 今橋映子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2008/05メディア: 新書購入: 6人 クリック: 84回この商品を含むブログ (48件) を見る1952年、後に写真史上にその名を残す写真集、『決定的瞬間』…

前回の西成地区暴動のエントリについての訂正

前回のエントリについて。コメント欄でのyas-igarashiさんとのやり取りを見ていただけると分かるが、「追記」として書いた部分 追記:ちなみに僕はこの件について「警察の暴力性」とかを批判するのはナイーブだと思っている。確かに警察の対応は横暴だが、そ…

西成区暴動と社会関係資本

最近脊髄反射でコメントしたりエントリ書いたりすることが多い。いやだなと思う反面自分の興味を惹く話題が多いのだなぁと思う。そしておそらくそれは社会が悪くなっている傾向なんだろう。社会学で社会を語る奴が出てきたら、その社会は悪い状態にある。 社…

思想地図シンポジウム『公共性とエリート主義』

雑感 昨日、新宿紀伊国屋サザンシアターで行われた思想地図シンポジウム『公共性とエリート主義』を見に行ってきた。今回のパネリスト?は宮台真司、東浩紀、北田暁大、姜尚中、鈴木謙介である。詳しい内容については他で上がっているだろうし書籍になる(は…

弱者の代弁者?

加藤智大は格差社会の代弁者ではない - the deconstruKction of right秋葉原の事件に関してもう書くつもりはなかったのだけれど、一つだけ。 この上記リンクのエントリのコメント欄が荒れ気味なのがよく分からない。この事件に関して出たエントリの中ではか…

なぜ「秋葉原」なのか―スペクタクル化という逆流

<ユートピア>の脱走者/破壊者 朝日新聞デジタル:どんなコンテンツをお探しですか?8日午後0時30分ごろ、東京都千代田区外神田3丁目の路上で、車が通行人らをはねた後、車から降りてきた男1人が通行人らに刃物で次々に切りつけた。東京消防庁による…

iPhone国内発売について気になる二つのこと

ソフトバンクモバイル、年内に「iPhone」を発売 - ITmedia +D モバイル via kwout昨日の夕方あたりからネットはあっちもこっちもiPhoneとソフトバンクの文字で溢れている。個人的にiPod周りに関してはジョブズの商法に踊らされまくっているので、iPhoneも初…

「昭和三十年代主義」という夢想、もしくは勝ち逃げの思想

昭和30年代vsポストモダン―定常型社会への回帰 昭和三十年代主義―もう成長しない日本作者: 浅羽通明出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2008/04メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 181回この商品を含むブログ (60件) を見る オビ裏には「日本人が昭和レトロ・…

彼は誰に「話しかけている」のか―<見る―見られる>の関係性が作り出す共犯関係

Infoseek ニュース - ニュース速報、芸能スクープなど満載 最近ワイドショーや新聞を騒がせているこの事件だが、ここまで大きな扱いをされているのは、事件の猟奇性のほかに犯人が実に「マスメディア的」なタイプの人間であることに由来するのではないか。 …

デッドエンド・ジョブと若者―「ワープア論壇」の踏み絵

昨年度ゼミでお世話になった先生の文章がはてブでちょっと話題になった。五十嵐泰正「「ババ抜きゲーム」は続くのか?――国内第三世界化と外国人労働者」従来は家庭の中で女性に押し付けられていた再生産労働が、マーケットに委託され低賃金かつ他の職業にス…

「東京から考える」再考―都市を考えるためのマトリックス

昨年秋の「柏から考える」(柏初上陸―「柏から考える」の感想 - No Hedge!)について、先日のゼミでもう一度考える必要があったので色々整理してみた。*1これは柏がどうというレベルではなく、おそらく「東京から考える」東京から考える―格差・郊外・ナショ…

「カンニング」と大学

うちの大学は夏休みが7月からなので、一部の学生は現在中間テストがあるらしい。 テストといえば、これはどこの大学でも同じだろうが、ごくまれにカンニングがバレて処分を受ける人間がいる。詳細なペナルティ内容は知らないが、とにかくその一年棒に振るか…

公共圏か動物か―思想地図における白田―東の議論を巡って

思想地図〈vol.1〉特集・日本 (NHKブックス別巻)作者: 東浩紀,北田暁大出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2008/04メディア: 単行本購入: 27人 クリック: 1,022回この商品を含むブログ (163件) を見る思想地図を読み進めている。東浩紀、北田暁大、萱…

「春の文学フリマ2008」に参加します

文学フリマ - 文学フリマ公式サイト-お知らせ 「春の文学フリマ2008」開催決定! 開催日時 2008年5月11日(日) 開場 11:00〜終了16:00 場所 東京都中小企業振興公社 秋葉原庁舎 第1・第2展示室 (JR線・東京メトロ日比谷線 秋葉原…

「戦後」の<歴史>化

先日ゼミで先生に言われて気づいたのだが、そういえば「戦後」という言葉を最近とんと見なくなった。中曽根首相が「戦後政治の総決算」という言葉を使って以降も、メディアでは自分たちの現在生きている時間を指して「戦後」と呼ぶことはあった気がする。メ…

メタユートピア/ゾーニング/テクノロジー

以下現在書いている原稿用のメモ。 メタユートピアとゾーニング メタユートピアという言葉がある。ロバート・ノージックによる論が有名であるが、リベラルな社会においては多様な価値が混在しており、人々は同じ価値を認め合うものどうしが自発的な共同体を…

知的情報メールマガジン「αシノドス」読みたい!

Guest | Cash Advance | Debt Consolidation | Insurance | Free Credit Report at Kazuyaserizawa.com四月から、芹沢一也氏と荻上チキ氏が結託して「αシノドス」というメーリスを立ち上げるらしい。 荻上氏のブログで 「αシノドス」配信開始&トラックバッ…

「友だち地獄―『空気を読む』世代のサバイバル」

友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル (ちくま新書)作者: 土井隆義出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/03メディア: 新書購入: 12人 クリック: 268回この商品を含むブログ (100件) を見る2006年度、僕がゼミで御指導いただいた先生の本である。…

「表現の自由」というタームは耐用年数を過ぎた気がする。

しばらくじっくりPCに向き合う時間が無かったので、今更児童ポルノ関連の議論を見返してみた。*1その中で気になったのが、何箇所かブログ上で散見した「欲望は裁けない」という命題である。確かにある種の性的な欲望を持ったことが外部に発覚したとして、…

小学生はガンガン犯行予告とかすればいいと「ある意味で」思うよ。

承前 白痴日記 小学生はガンガン犯行予告とかすればいいと「本気で」思うよ - logical cypher scape「犯行予告」という行為*1について、id:Muichkineは「均衡」という概念を使って、意識やコストの面から「特に問題ないんじゃない?むしろ犯行予告ガンガンや…

「コンビニの建築×社会学」を聞いてきた。

MUSEUM OF TRAVEL このイベントに参加してきた。 コンビニの建築×社会学 <ゲスト> 藤村龍至(建築家) 吉村英孝(建築家) 新雅史(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程) 田中大介(筑波大学大学院人文社会科学研究科博士特別研究員) <モデレーター…

19歳のニートの女の子の美談についての補足。

先日のエントリの真実性の箇所について、id:ono_matopeさんからTBを頂いたのと、ブックマークコメントでも分かりづらいという指摘を頂いたので少し補足させていただく。2008-02-27 - 小野マトペの業務日誌(アニメ制作してない篇)「水からの伝言」は、「水か…

事実か創作か、リアルかネットか

ニートの19歳女の子を札幌『紀伊国屋』に連れてったら感動して泣かれた話*ホームページを作る人のネタ帳この話が本当なのかどうかを気にするのは、「恋空」が実話に基づくのかどうかを気にする人たちとメンタリティが似ている気がする。「水からの伝言」など…

「ゆるふわ愛されポストモダン」

「現代思想的なポストモダニズムで、男を誘惑する10の方法を大特集」 1.授業の席で、構造主義に乗せた手をそのままゆっくりとリオタールの「ポストモダンの条件」のほうに持っていっちゃえ!2.無知のヴェールを口にくわえてさりげなく頭から落としちゃえ!…

「アイデンティティ」という魔窟

行為と意識を結びつける難しさ ゼミ論や卒論用に本を読んだり文を書いていてよく思うのは、「アイデンティティ」というのはかなりパンドラの箱に近い言葉だ。これほど現代の社会を表すのに多用され、かつその意味が統一的でない用語もない。もちろんそれなり…

「何故男女は話が〜」について

一年半も前のエントリがどうも急にブクマされているらしく、若干戸惑っているのですが、*1あのエントリは二年次に受けた「社会言語学」の授業で書いたペーパーを改変したものなので、まぁその程度のものだと思って軽く読んでいただけると幸いです。男女にお…

「タテマエ」というコミュニケーションコード

いわゆる「タテマエ」ってのは、立場の違う人間がとりあえず定められたコミュニケーションコードに乗っかることで、トータルのコミュニケーションコストを縮減するためのものだと思う。そしてそうまでしてコストを下げて、摩擦をなくし、コミュニケーション…